お客様事例

業務プロセス変革にAIを適用したい。NTTデータ イントラマートが選んだ実装知

NTTデータ イントラマートの皆さん
intra-mart

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート(以下、NTTデータ イントラマート)は、エンタープライズ・ローコードプラットフォーム「intra-mart」を軸に、企業の業務プロセスのデジタル化・自動化を支えています。ワークフローやBPMに強みを持つ同社はなぜ、ジェネラティブエージェンツの講座受講を決めたのでしょうか。AIをintra-martに取り込むPoCを担う中台一輝さんと、コンサルタントの森勇人さんにその背景を伺いました。

中台 一輝さん

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート
エンタープライズソリューション事業本部
ソリューション事業部 DXデザインチーム
中台 一輝さん

森 勇人さん

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート
エンタープライズソリューション事業本部
コンサルティング部 コンサルティングチーム
森 勇人さん

業務プロセス改革を支えるintra-martの強み

― 事業概要について教えてください。

森 勇人さん(以下、森):NTTデータ イントラマートは、エンタープライズ・ローコードプラットフォーム「intra-mart」の企画・開発・販売・保守、コンサルティングなどを手がけています。中核となる「intra-mart Accel Platform」は、企業内に分散した業務システムや業務プロセスを統合し、ワークフロー、BPM(Business Process Management)、ローコード開発、外部システムとの接続を通じて業務のデジタル化・自動化を支える基盤です。申請・承認を電子化するだけではなく、部門やシステムをまたいだ業務プロセスを可視化し、継続的に改善していくためのプラットフォームとして提供しています。2025年3月末時点で独自のシステム開発フレームワークや業務コンポーネント群、アプリケーションシリーズは11,900社超に導入され、200社以上のパートナーとともに展開されています。

また、ワークフロー市場では2024年度実績で金額ベースのトップシェアを獲得し、2007年度以降18年連続で首位を維持しています。これまで強みとしてきたワークフローやBPMの領域に加え、AIによる業務プロセス変革にも注力しています。生成AIやAIエージェントの進化を踏まえ、人、AI、業務プロセスを統合的に管理・実行する仕組みとしてintra-martの提供価値を広げていこうとしています。

― サービスの特徴は何でしょうか。

森:お客様の業務を個別最適に閉じず、部門やシステムをまたぐ業務プロセスとして捉えられることです。intra-martを起点に複数のシステムを接続し、申請・承認や関連業務の流れを一元的に可視化・管理できるため、縦割りになりがちな業務を横断的に見直しやすくなります。さらにintra-martを導入した後、お客様自身が自社の業務に合わせて活用方法を検討し、使い方を広げているという特徴もあります。近年は、AIをプラットフォーム上で提供する取り組みも進めています。

中台 一輝さん(以下、中台):エンジニアとして見ると、intra-martはワークフローやBPM、業務プロセスの管理に特化しています。そのため、AIを導入する際にも既存の業務統制基盤を生かしながら組み込めることが優位性だと考えています。

AIは、単体のツールとして導入するだけでは実際の業務に定着しにくい面があります。どの業務プロセスのどのタスクをAIに担わせるか、また、どのデータを参照してどの判断を人が担うかといった設計が求められます。intra-martの場合、ワークフローやBPMを通じて業務の流れを管理しているため、AIを既存の業務プロセスの中に位置づけしやすいです。今後、AIを業務システムでAIを活用する上でも、この点は強みになると予想しています。

講座の様子

顧客のAI期待と、現場に求められる役割

― お二人のご担当領域を教えてください。

中台:私はAIをintra-martに取り込むためのPoCを実施する部門に所属しています。intra-martにはBPM、ワークフロー、業務統制基盤がありますが、現時点ではBPMやワークフローは人が業務を整理し、設計しながら作らなければなりません。そこで、AIを活用してBPMやワークフローを作成できないかを研究しています。ワークフロー上に残るログをもとに業務のボトルネックを分析し、お客様に業務改善案を提示する仕組みを研究・開発しています。

森:お客様から業務内容を伺い、BPMNと呼ばれる国際的な表記法などを用いてお客様の業務を可視化しています。ウィークポイントやボトルネック、見直すべき箇所を整理した上で業務改善やシステム設計へ落とし込んでいます。コンサルタントとして、お客様がintra-martを使いこなすための提案や、技術的な観点からのサポートをしています。それに加え、intra-mart上に蓄積された業務データをプロセスマイニングで分析し、設計から改善までの一連のサイクルも支援しています。

講座の様子

― intra-martは、お客様のどのような課題に向き合っているのでしょうか。

森:お客様の課題は申請・承認の電子化にとどまりません。特に大企業では複数の部署やシステムにまたがる業務、承認ルートや権限管理、基幹システムとの連携など、業務プロセスが複雑になりやすいです。intra-martはこのような業務を個別のシステムとして扱うのではなく、業務全体の流れとして捉えて可視化・管理・改善できるようにしています。

― 昨今では、お客様の期待やニーズにどのような変化がありますか。

中台:「ワークフローで誰が承認すべきかをAIに判断してほしい」など、案件にAIを組み込みたいというご相談は増えています。これまで人が遂行してきた業務には、明確なルールとして定義されていないものもあります。暗黙知や個別判断に依存していた業務をAIによって定義し、工数を減らしていきたいのだと感じています。

森:AIに関心を持つお客様はいらっしゃいます。ただ「AIを使って何を実現したいのか」まで具体的に整理できているケースはまだ多くありません。トレンドに引っ張られて「どこかでAIを使えないか」と考えているものの、実務や事業全体への影響、メリット・デメリットを言語化できていない場合もあります。私たちはまず、お客様に業務を整理することの重要性をお伝えしています。AIを活用できる箇所はどこか、導入した場合どの程度の効果が見込めるかを業務を最初から最後まで見た上で判断し、データをもとに実態を把握するようにしています。

AI開発の体系化に、ジェネラティブエージェンツを選ぶ

― 受講前、コンサルタントの森さんはAIエージェントにどの程度触れていらっしゃいましたか。

森:RAGやプロンプトといった用語を知っている程度で、AIエージェントに関する知見は十分ではありませんでした。コンサルタントとして、お客様には常々「AIを導入する前に業務を整理する必要がある」「業務のどこにAIを使えるかを見極めることが大切だ」とお話ししていますが「AIの何が有用なのか」と問われたら、技術的な背景や実装の観点まで踏み込んで説明できなかったと思います。

― エンジニアの中台さんは、講座の受講までどのような経緯がありましたか。

中台:私たちの組織では、2025年末頃からAIエージェントを活用した開発に取り組んでいました。例えば、Codexを使ってユーザーへのヒアリング内容から設計を起こし、それをもとにコードやテストを作成するような試行を進めていました。一方で、AIを使った開発の進め方はまだ体系化されていませんでした。自分たちで仕組みを整えながら進めていたものの、そのやり方が適切かを判断する基準がなかったのです。AIを使った開発の正解を知りたかったですね。

また、これまではベンダーが提供するAIエージェントに触れていました。LangChainやLangGraphのようなフレームワーク、OSS系のエージェントがどのように動くかも、腰を据えて理解しなければならないと感じていました。LLMを試すだけであれば始められますが、業務プロセス、権限、承認、評価、運用、安全性まで含めて考えると、AIエージェントを業務システムに組み込む難易度は高くなるからです。

― 会社として講座の受講に踏み切った背景をお教えください。

森:コンサルティング部門の上長が、お客様に根拠を持って正しく改善案を伝えられるようにしたいと考え、この講座に申し込みました。当時、上長はLangChainやLangGraphといったAIエージェント開発に関わるフレームワークに関心を持ち、それらを学べる書籍を探していました。ジェネラティブエージェンツ社の関連書籍を見つけ、公式サイトで開発者向けの研修や講座を運営していると知ったのです。AIエージェントに関する知見を持つ会社が実施する講座であれば、技術的な理解を網羅的に習得できるはずだと感じました。

NTTデータ イントラマートの皆さん

設計・評価・RAGの知見をPoCと顧客支援へ展開

― 受講後の主なBefore Afterをお聞かせください。サービスや顧客支援にも関係すると感じた内容はありますか。

中台:特に有用だと感じたものは3点あります。1つ目は、AIエージェント、エージェンティックワークフローの使い分けです。受講前は、全て自律型のAIエージェントに任せればいいと思っていましたが、実際には業務フローに応じて使い分ける必要がありました。場合によっては、このAIエージェントよりもエージェンティックワークフローのほうが品質やコストの面で適しているケースもあると分かりました。

2つ目は、評価設計です。AI活用では作るだけでなく、品質をどう評価して改善していくかがポイントです。今回の講座を通じて、AI案件における評価の考え方や手法を習得したことで、実務でも計画段階から評価観点を具体化しやすくなりました。3つ目は、RAGの構築に関するノウハウです。企業がAIを活用する上で、RAGは避けて通れない領域です。どのように情報を参照させて回答精度を高めていくかという考え方や実装上の論点を教わったことは、今後の案件でも重要になると感じています。

森:私はコンサルタントとして技術用語一つ一つの意味やその繋がり、AIエージェント開発の全体像を把握できるようになりました。現在は開発側と共通言語を持ち、お客様に説明する際にもどの粒度まで技術的に踏み込むべきかを判断しています。

中台:共通言語が生まれたことで社内の案件も進めやすいですね。例えば、LangChainを使って実装する時「研修で学んだこの概念を生かしてください」と説明できるようになり、会話もスムーズになりました。また、AIエージェントを業務プロセスやワークフローの中に位置づけるイメージも具体化しました。現在は、BPMのタスクにLangChainやRAGを組み込むPoCに取り組んでいます。講座で得た内容は知識にとどまらず、実際の開発や検証にも役立っています。

森:今後、弊社が業務プロセスでAIを利用する上でも設計、評価、運用、RAG、AIエージェントとエージェンティックワークフローといった考え方は欠かせません。現場実装に必要な判断軸を得られ、開発側や顧客との議論に生かせるようになりました。

― 講座をどのような方に勧めたいとお考えですか。

森:経営者や意思決定者の方々に講座の必要性をご理解いただき、現場関係者の方々を含めて全体で講座を受けるのが望ましいと思います。システム業界は技術の進展が速いため、意思決定が遅れるとAI活用の機会を逃してしまう可能性があります。企業としてAIを導入したい方針が少しでもお有りでしたら、まずは講座を通じて基本的な知見を得ることが鍵です。経営層や意思決定者が現場と認識をそろえることで、AIの導入や定着も進めやすくなるのではないでしょうか。

中台:「AIエージェントを業務システムに組み込みたいが、どこから始めればいいか分からない」と悩む開発担当者の方にも勧めたいです。この講座では、AIを試すだけで終わらせず、業務フローへの適用方法や評価設計などを体系的に整理できます。これからAIを業務システムに適用しようとしている企業の方々にとって、実務に直結する視点を得られると思います。

講座の様子

AIエージェントが変える、業務システム開発の今後

― BPM・ワークフロー・ローコード基盤とAIエージェントが組み合わさることで、中長期的にどのような変化が起こるとお考えですか。

森:人材不足などの課題もあり、さまざまな現場でAIの活用は広がっていくはずです。これまではRPAを前提に業務を設計する場面もありましたが、今後はAIの実装を前提に業務を見直す機会が増えるでしょう。コンサルタントとしてはお客様の業務を整理し、どこにAIを入れると効果があるのかを見極めた上で設計や提案に繋げていきます。

中台:AIエージェントは現時点では先進的なPoCにとどまるケースも多いですが、今後は業務システム開発の要件に入ってくると見ています。特に、既存の業務システムにAIを導入する案件は増えていくはずです。その際に欠かせないのは、人の判断を完全に排除する設計ではなく、承認や例外判断など人が担う領域を残しながらAIを業務プロセスの中にどう配置するか、ではないでしょうか。業務システム全体の設計の中でAIエージェントを扱う視点が求められていくだろうと考えています。

― これからこの講座を受講しようとしている方へのメッセージをお願いします。

森:AIを業務で使いたいのであれば、やはり行動することが大切です。最初から100点のものを作れるわけではないため、この講座からAIエージェントに関する基本的な知識や考え方を身につけることが入口となります。ジェネラティブエージェンツ社はAIエージェントに関する関連書籍も出版していらっしゃいますし、研修や講座でも開発や運用に不可欠な知識を確実に学べます。AIに取り組みたい企業の皆さんにとって、最初の一歩として有用な機会になるのではないでしょうか。

(取材・執筆・編集:佐野 桃木 写真提供:NTTデータ イントラマート)

「intra-mart」の商標およびロゴは、株式会社NTTデータ イントラマートの登録商標です。

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